白色申告でも記帳と書類保存は必要です。青色申告は手続きと記帳の負担が増えますが、青色申告特別控除、赤字の繰越し、家族への給与の扱いなど、事業を続けるうえで大きなメリットがあります。迷うときは、まず「毎月の記帳を続けられるか」と「青色申告の期限に間に合うか」で判断すると整理しやすいです。
青色と白色の違いを一枚で見る
| 項目 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 記帳 | 簡易な帳簿でも申告用の記録は必要 | 複式簿記を前提にした記帳が基本 |
| 書類保存 | 請求書・領収書などの保存が必要 | 帳簿と証憑の保存を前提に運用する |
| 税務上の優遇 | 原則として限定的 | 青色申告特別控除などの優遇がある |
| 向いている人 | まずは申告の流れを覚えたい人 | 毎月の数字を見ながら事業を伸ばしたい人 |
白色申告でも帳簿はいらない、は間違い
開業直後によくある誤解が「白色申告なら帳簿をつけなくてよい」というものです。実際には、売上や経費を申告するために、日々の取引を記録し、請求書や領収書などを保存しておく必要があります。国税庁も、白色申告であっても記帳と帳簿書類の保存が必要だと案内しています。
青色申告は、きちんと記帳する代わりにメリットがある制度
青色申告は、一定水準の記帳に基づいて正しく申告する人に、有利な扱いを認める制度です。国税庁は、青色申告の記帳について、原則として貸借対照表と損益計算書を作成できるような正規の簿記によることと説明しています。
青色申告の主なメリット
- 条件を満たすと青色申告特別控除を受けられる
- 事業の赤字を翌年以後に繰り越せる場合がある
- 家族に支払う給与を必要経費にできる場合がある
- 売掛金などに対して貸倒引当金を設定できる場合がある
青色申告特別控除の見方
国税庁の案内では、正規の簿記で記帳し、確定申告書を期限内に出した場合は55万円、さらにe-Taxで申告するか優良な電子帳簿保存を行うなどの要件を満たすと65万円の控除を受けられます。簡易な帳簿でも10万円の控除があります。
青色申告を選ぶ前に考える3点
- 毎月の売上、経費、入出金を継続して記録できるか
- 開業届と青色申告承認申請書の提出期限に間に合うか
- 会計ソフトや税理士と連携して、複式簿記の運用を続けられるか
開業直後なら、青色申告を前提にした方が後で楽
最初は白色申告で簡単に済ませたいと思うかもしれません。しかし、事業を続けるなら、売上、経費、売掛金、買掛金、預金残高を早めに整理できる体制を作った方が後で楽になります。クラウド会計ソフトを使えば、複式簿記の知識が浅くても、日々の入力から決算書作成まで進めやすくなります。
新規開業で青色申告を始める場合、原則として業務開始日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出します。期限を過ぎると、その年は青色申告を使えない場合があります。
開業したら先に出す書類もある
青色申告を選ぶなら、開業届と青色申告承認申請書の提出も一緒に整理すると、後の手戻りが少なくなります。提出期限の考え方を先に押さえたい方は、開業直後の届出をまとめた記事も参考になります。
管理人の経験から
経営者になったばかりの頃、会計は「申告のためだけの作業」だと思っていました。でも本当は、資金繰りや利益の見通しを見るための道具です。青色申告を選ぶかどうか以前に、数字を毎月見る習慣を作ることが大事です。
参考にした公的情報
- 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
- 国税庁「No.2070 青色申告制度」
- 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
- 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」
- 国税庁「記帳や帳簿などの保存の必要性」
上記リンクは、2026年9月4日時点で確認した公式情報です。青色申告の控除要件や提出期限は改定されることがあるため、実際の申告前に最新情報を再確認してください。
この記事は一般的な情報です。個別の申告判断は、税務署、税理士、商工会議所等へご相談ください。
